桃太郎などのお話にも登場し、日本犬の代表的存在である柴犬は、
その親しみのある容姿と素朴な魅力で、家庭犬として大変人気のある犬種です。
日本犬の中で唯一の小型犬で、昭和11年には天然記念物としても指定されてます。
柴犬といえば、ピンとたった三角耳に、クルクルッと巻いた尻尾、
小柄ながら引き締まった体に、凛々しい顔つきといった
容姿を魅力にあげる人が多いようです。
その飾りっ気のない素朴な魅力と、子犬時期の抜群の愛らしさから、
今では海外でも注目を集めており、洋犬に負けないほどの人気を誇っています。
また、飼い主にとても忠実で、飼い主以外の人間には心を開かない、
といった頑固な面も、柴犬の魅力の一つと言われます。
他人には強い警戒心を持つその性格が、まさに番犬向き。
そういった理由で、かつては屋外で番犬として飼われる事の多かった柴犬ですが、
現在では、小柄な体と無駄吠えが少ないことから、
より多くのコミュニケーションが取れる室内で飼育する人も増えてきました。
また、柴犬は古来から日本で暮らしてきたため、洋犬よりも日本の風土に適しており、
四季の変化にも無理なく対応できます。
そのため、体も丈夫で飼いやすい犬種です。
これらもまた、柴犬の人気を後押しする理由となっています。
現在、日本で飼育されている日本犬の80%は柴犬というくらい、
その人気は不動のものとなっています。
柴犬は、大変勇敢かつ大胆で独立心もあり、忍耐強い性格の犬種です。
日本犬の中では最も温和なタイプといわれています。
縄張り意識が強く、警戒心も旺盛なため、
見知らぬ人に対しては距離をおいて接しますが、
その分、一旦リーダーと認めた飼い主には大変忠実で、
非常に深い信頼関係を築く事ができます。
また、こうした警戒心の強さと、比較的よく吠えるタイプですので、
番犬として大変優秀な犬種といえます。
頭も良くて、飼い主に対しては強い服従心を持ちます。
しかし、こうした性格も、裏を返せば頑固で神経質、
友好的ではないということに繋がります。
小さな頃からしっかりしつけを行わないと、こうした性格が仇となり、
見知らぬ人や他の犬たちに向かって、無駄に吠えたり
噛み付いたりする性格になってしまい、様々なトラブルの元となります。
このような状況を避けるためには、なるべく早くから外に連れ出し、
たくさんの人や動物とふれあう機会を設けて、社会性を養うようにしましょう。
また、性別によっても多少の性格の違いがあるようで、
オス犬は外へ向かう気持ちの強い傾向があり、
メス犬は家族の気持ちを繊細なまでに汲み取ってくれる、優しい傾向があるようです。
柴犬は、小柄な体型ながら、従来の日本犬の魅力のすべてを受け継いでいるところも、
人気の秘密です。
柴犬は、6000年以上も前から狩猟犬として活躍していたと考えられています。
縄文時代の遺跡から、200点以上もの小型の犬の骨が発見されている事が
そう推測される理由です。
また、弥生時代の埴輪にも、柴犬と良く似た特徴の犬の姿が見られています。
本州各地で飼われていた柴犬は、美濃柴、三河柴、信濃柴、山陰柴など、
分布地域によっていくつかの群に分けられていました。
明治維新後、鎖国が解かれ、洋犬が次々輸入された事によって、
柴犬の間にも瞬く間に雑種が増えてしまいます。
大正時代には、立ち耳・巻き尾といった、純粋な形の日本犬の姿が激減しました。
これに危機感を感じた渡瀬庄三郎博士は、
大正末期に、日本古来の良さを持つ日本犬を保護する目的で、
「日本犬保守運動」を起こします。
これによって「日本犬保存会」が発足、昭和12年には柴犬を始めとして、
秋田犬・北海道犬・紀州犬・甲斐犬・四国犬の6犬種が
天然記念物に指定され、絶滅の危機を免れたのです。
しかし、その後の第二次世界大戦の時代背景により、再び絶滅の危機に瀕します。
戦争時代が後半になるにつれ、柴犬の犬種としての復興を望む声が再び浮上します。
その後、全国各地から、なるべく雑種化していない柴犬を集めて交配させ、
犬種の保護に成功、現在のような均一なスタイルが確立しました。
現在、日本のみならず、海外でも注目を集める柴犬は、
ペットブームに流される事なく、実に安定した人気を誇っています。